数字力

数字に対するセンスは、ビジネスマンにとっては欠くことのできない基礎能力の一つです。

仕事ができる人はほぼ100%数字に強いです。

数字に強いと一言に言ってもいろんな解釈がありますが、仕事の現場では数学等の計数能力より、おそらく「割合」の感覚が重要だと思われます。

ある数字を見聞きして、その数字の意味合いを全体の母数からとらえる感覚です。

例えば、社会問題になっている年金データの入力漏れ問題がありますが、宙に浮いているデータが5,000万件あるそうです。

さて、この5,000万件とニュースで聞いて、あなたはどう思いますでしょうか?

1、なんという膨大なデータのミスだ!社会保険庁の怠慢は許されない!組織を解体しろ!
2、5,000万人もの人々が、年金の受給損害をうけたのか。。大変なことだ。。
3、5,000万もの入力ミスは今更どうしようもない。過去に翻って、責任者から罰則金を徴収して、年金支払いに充てるべき

もし、この3つのうちのどれかに近い認識で、テレビのニュース報道等に同調していたら、数字力を見直すべきかもしれません。

というのも、ニュースや新聞等のメディアは5,000万という数字について詳しい解釈はあまりしません。
できるだけセンセーションを起こしたい意図もあり、「なんという膨大な!」と思わせることに終始しているきらいがあるからです。

では、この5,000万件とはいったいどういう規模感なのでしょうか?これが冒頭に書いた「割合」の感覚です。

これはある本にも似たような推論が出ていましたが、ちょっと冷静に推論するとまったく異なる見解が浮かんできます。

まず、日本の人口は約1億3千万人。年金は20歳以上は入るので、対象外をざっくり除くと大体1億人。
次に一人当たりのデータ件数。
これは、一人の年金データは月ごとに更新されるので、年間12件。これが20歳から60歳まで続くとして40年間なので、480件。で、1億人だから、480億件。

とすると、5,000万件というのはその仮の母数のうちのどの位の割合でしょうか?

ここから、電卓に頼らず、頭でなんとか暗算しようとする場合、以下のように少しずつ分解するとわかりやすくなります。

まず「1%」だと4億8千万件。「0.5%」だとその半分だから2億4千万件。さらに「0.1%」だと、その5分の1なので、約5,000万件となり、
年金データの紛失は大体「0.1%」程度のものだと推論(あくまでも仮説ですけど)できます。

もちろん、これくらいならミスしてもかまわないというような話はまったく別の話ですが。

それよりも、数字の割合を推論せずに、マスコミ報道に踊らされて「社保庁解体!」とか「自民党の責任だ!」とか野次を飛ばすだけで、本質的な年金制度改革について
何も建設的な議論がされないところって、日本人の特性なのでしょうか。
太平洋戦争に突入したのも、大本営発表をセンセーショナルに誇大発表しつづけたマスコミに国民が踊らされた部分も否定できないですから。

話がそれました。

ということで、数字というFACTを正確につかんで、物事を進めていくという事は仕事の基本だと再認識しました。