リーダーシップについて

ネットサーフィンをしていたら、こんな良いブログエントリーを発見したので、せっかくだから備忘録として、紹介として記しておきます。

リーダーシップについて

 アメリカの人口の12%が「貧困層」であり、そう言った人たちは日々の食事も満足に食べることの出来ない生活をしている、などの報道は、米国に住んでいると新聞やニュースでは良く見かける。しかし、中流以上の生活をしている我々にとってみれば、生活圏がほとんど重ならない彼らの生活の実態は、なかなか実感として捉えられず、単なる「統計データ」としてしか頭に入って来ない、というのが正直な所である。

 しかし、今回のハリケーンで、彼らの生活の基盤がいかにもろいものか、そして、その数がものすごいものであることを、映像を通して目の当たりに見させられることになったことにショックを受けている人はとても多いはずだ。

 今回のハリケーンの被害は、政府からの非難命令にも関わらず、逃げるための交通手段も持たず、逃げたところで避難先のホテル代も払うことが出来ない人達が「予想に反して」10万人も市内に残ってしまったために大きくなってしまった。12%が貧困層であるという統計データから考えれば予想できて当然だったのかも知れないが、普段からそういった貧困層の人たちと触れ合わない生活をしている普通のアメリカ人にとっては、予想してみようともしない「想定外」の出来事だったようだ。

 ちなみに、今回の政府側の対応の悪さについて、マスコミも激しく非難しているが、その一つでFema(Federal Emergency Management Agency)のトップがインタビューを受けているニュースを見たのだが、以下のような会話を聞いて、ふとマイクロソフト時代のエピソードを一つ思い出した。

アナウンサー: 今回の被害は10万人もの人々が市内に残ったために被害が大きく広がったのですが、政府としてはどう見ていますか。
Fema(のトップ): 10万人も残るとは全くの予想外でした。
アナウンサー: しかし、貧困層の人達が移動する手段を持っていなかったことは前もって分かっていたんですよね。なぜバスを手配するなどしてあげなかったんですか?
Fema: 私達としても、市にバスを手配するように指示したんですが、市側が十分なバスを手配してくれなかったんです。

 記憶を呼び起こしたのは、この「市にバスを手配するように指示したが、市側が十分なバスを手配してくれなかった」という言い訳である。私が米国のマイクロソフトで働き始めてまだ日が浅い頃、ソフトウェアの開発に関連して似たような言い訳をビルゲイツの前でした人間がいたのだが、その瞬間にビルゲイツは机を叩いて真っ赤になって怒り始めたのだ。この場面にビルゲイツがいたとすれば、こんな感じになる。

ビルゲイツ: (机を激しく叩いて)市側が十分なバスを手配してくれなかっただって?バカなことを言ってるんじゃない。市側が適切な対応をしなかったら、市長の首をねじ上げててもバスを手配させるのがお前の仕事だろう。それでも市が動かなかったら、隣の市からバスを借りて来るなり、軍にトラックを手配させるなりして、何としてでも市民を非難させるんだ。
Fema: しかし、市も軍も私の指揮権の及ぶところではありませんから…
ビルゲイツ: (ますます真っ赤になって怒って)指揮権がなんだっていうんだ。人の命がかかっているんだぞ。軍に要請を出して動いてくれなかったら、大統領に電話して命令を発動してもらうのがお前の仕事だろう。何のためにお前に高い給料を払っていると思ってるんだ。

 このエピソード以来、私の「プロジェクトの責任者の役割」に関しての見方が大きく変わった。プロジェクトの責任者の仕事は、「プロジェクトの成功に必要な作業の手配をする」だけでは終わらず、それらの作業が確実に実行されるようにして結果を出してこそ初めて評価されるものだ、そしてうまく行かないことがあっても決して他人のせいにしてはいけない、という認識である。マイクロソフトでは沢山のことを学んだが、これはそのうちでももっとも貴重なものの一つである。

 例えそういう認識を持っていたとしても、人間というものは自分には甘いので、自分で同じことをしていてもなかなか気がつかないものである。そこでこの報道をキッカケに「他人のふりみて我がふり直せ」と自分のことを振り返って見た私であった。人間、「何としてでも結果を残す、言い訳は絶対しない」という意気込みを持って仕事をすると、ものすごく強くなれる。


そうです、あたくしなんかも、仕事の修羅場で体よく逃げたい場面がたっくさんありますが、逃げてはいけませんね。
泥をかぶっても、嫌われても、目的をやりとげる。
これこそが責任とリーダーシップですね。

いまは落ち目ですが、Microsoftの隆盛はやはりビルゲイツの力によるところだ大だったのですね。